試験とは
2010年に改正されたJIS X8341-3の大きなポイントは「試験」が追加されたことです。2010年の時点では3段階の「等級」があり、2016年には「等級」が「レベル」に変更されました。試験には「レベルA」「レベルAA」「レベルAAA」と3段階にわけられたレベルの達成基準があります。
以下に日本の達成基準を掲載し、該当するWCAG 2.0の項目にリンクを貼ります。JIS X 8341-3:2016とWCAG 2.0は対応しています、例えばJIS X 8341-3:2016の「1.1.1 非テキストコンテンツを理解する」は、WCAG 2.0の「非テキストコンテンツ:達成基準 1.1.1」と同じです。
JIS X 8341-3:2016達成基準
レベルAで適合する場合に満たすべき達成基準
- 1.1.1 非テキストコンテンツの達成基準
- 1.2.1 音声だけ及び映像だけ(収録済み)の達成基準
- 1.2.2 キャプション(収録済み)の達成基準
- 1.2.3 音声解説又はメディアに対する代替コンテンツ(収録済み)の達成基準
- 1.3.1 情報及び関係性の達成基準
- 1.3.2 意味のある順序の達成基準
- 1.3.3 感覚的な特徴の達成基準
- 1.4.1 色の使用の達成基準
- 1.4.2 音声の制御の達成基準
- 2.1.1 キーボードの達成基準
- 2.1.2 キーボードトラップなしの達成基準
- 2.2.1 タイミング調整可能の達成基準
- 2.2.2 一時停止,停止及び非表示の達成基準
- 2.3.1 3回の(せん)閃光又は(しきい)閾値以下の達成基準
- 2.4.1 ブロックスキップの達成基準
- 2.4.2 ページタイトルの達成基準
- 2.4.3 フォーカス順序の達成基準
- 2.4.4 リンクの目的(コンテキスト内)の達成基準
- 3.1.1 ページの言語の達成基準
- 3.2.1 フォーカス時の達成基準
- 3.2.2 入力時の達成基準
- 3.3.1 エラーの特定の達成基準
- 3.3.2 ラベル又は説明の達成基準
- 4.1.1 構文解析の達成基準
- 4.1.2 名前(name),役割(role),及び値(value)の達成基準
レベルAAで適合する場合に満たすべき達成基準
- 1.2.4 キャプション(ライブ)の達成基準
- 1.2.5 音声解説(収録済み)の達成基準
- 1.4.3 コントラスト(最低限レベル)の達成基準
- 1.4.4 テキストのサイズ変更の達成基準
- 1.4.5 文字画像の達成基準
- 2.4.5 複数の手段の達成基準
- 2.4.6 見出し及びラベルの達成基準
- 2.4.7 フォーカスの可視化の達成基準
- 3.1.2 一部分の言語の達成基準
- 3.2.3 一貫したナビゲーションの達成基準
- 3.2.4 一貫した識別性の達成基準
- 3.3.3 エラー修正の提案の達成基準
- 3.3.4 エラー回避(法的,金融及びデータ)の達成基準
レベルAAAで適合する場合に満たすべき達成基準
- 1.2.6 手話(収録済み)の達成基準
- 1.2.7 拡張音声解説(収録済み)の達成基準
- 1.2.8 メディアに対する代替コンテンツ(収録済み)の達成基準
- 1.2.9 音声だけ(ライブ)の達成基準
- 1.4.6 コントラスト(高度レベル)の達成基準
- 1.4.7 小さい背景音又は背景音なしの達成基準
- 1.4.8 視覚的提示の達成基準
- 1.4.9 文字画像(例外のなし)の達成基準
- 2.1.3 キーボード(例外なし)の達成基準
- 2.2.3 タイミング非依存の達成基準
- 2.2.4 割込みの達成基準
- 2.2.5 再認証の達成基準
- 2.3.2 3回のせん(閃)光の達成基準
- 2.4.8 現在位置の達成基準
- 2.4.9 リンクの目的(リンクだけ)の達成基準
- 2.4.10 セクション見出しの達成基準
- 3.1.3 一般的ではない用語の達成基準
- 3.1.4 略語の達成基準
- 3.1.5 読解レベルの達成基準
- 3.1.6 発音の達成基準
- 3.2.5 要求による変化の達成基準
- 3.3.5 ヘルプの達成基準
- 3.3.6 エラー回避(全て)の達成基準
※上記の内容について「難しい」「解読している時間が無い」という方は、「ウェブアクセシビリティ実例集【2012年度】」をご購入ください。WCAG2.0解説書に基づき、WCAG 2.0 実装方法集を図解しています。
試験結果表記方法
5段階の表記方法があります。
- 1.「適合」と表記できるケース
- 達成基準をすべて満たした上で、「JIS Q 1000 適合性評価・製品規格への自己適合宣言指針」による自己適合宣言をった場合。
- 2.「準拠」と表記できるケース
- 達成基準をすべて満たした場合
- 3.「一部準拠」と表記できるケース
- 達成基準を一部満たせなかった場合。満たせなかった理由と準拠に向けたスケジュールも合わせて表記する。
- 4.「配慮し試験」と表記できるケース
- 達成基準を満たしたかどうかにかかわらず、試験を行った場合。
- 5.「配慮」と表記できるケース
- 試験を行わなかった場合。ただし、配慮する為に参照した達成基準一覧を合わせて表記する。
試験枚数
試験には「ウェブページ単位での試験」と「ウェブページ一式単位での試験」の2つがあります。ここではいくつかパターンのある「ウェブページ一式単位での試験」についてご説明します。
ページ数が少ないサイトの場合は全ページ試験をするのが望ましいです。ですが、100ページを超えるサイトを全ページ試験することは難しく、コストもかかります。その場合は、以下のいずれかの方法を適用します。
- 1.ランダムに選択する方法
- ランダムにサンプリングして試験します。
- 2.ランダムでない選択方法
- トップページなど不可欠なページを指定して試験を行います。
- 3.「1と2」の組み合わせ
- ランダムに選択する方法と、ランダムでない選択方法を組み合わせ
※ウェブアクセシビリティ基盤員会サイトの「JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン (外部リンク)」で、合否判定に十分なページ数として「40ページ以上」のサンプリングが推奨されています。また、試験ページ数の目安としては、「主要ページ群+ランダムサンプリングで40ページ程度」となっており、一例として55ページ試験を行ったケースが掲載されています。
上記の試験を行うための「実装チェックリスト」や「達成基準チェックリスト」は当サイトにご用意しております。無料となっておりますので、ぜひ、ダウンロードしてご利用ください。
もし本サイトに関する内容に間違いがあり、気づかれた方がいらっしゃいましたら、お問い合わせよりご連絡ください。
ご意見・ご質問も受け付けております。よろしくお願いいたします。